2006年4月25日 コンピュータリテラシ 筑波大学 電子・情報工学系 コンピュータサイエンス専攻 新城 靖 <yas@is.tsukuba.ac.jp>
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電子メール は、電話や(普通の)手紙と同じように、個人と個人の間で情報を交換するた めの仕組み。
電子メールを読み書きするプログラムは、 メール・リーダ(mail reader) または、 メーラ(mailer) という。 「リーダ(reader)」といっても、書くこともできる。
種類
電子メールを使う上で重要な考え方
1通の電子メールは、次のような形式を持っているテキスト(文字データ)。
From: Shiro Yagi <shiro@is.tsukuba.ac.jp> To: kuro@cc.tsukuba.ac.jp cc: shiro@is.tsukuba.ac.jp Subject: Visit my WWW page Date: Mon, 23 Jan 2006 23:42:25 +0900 Message-Id: <200601231442.k0NEgPTw003900@maple.is.tsukuba.ac.jp> こんにちは。白やぎです。 WWWページを作ったので見てください。URL は、 http://www.is.tsukuba.ac.jp/~shiro/ です。 ♪♪ 白やぎ ♪♪ http://www.is.tsukuba.ac.jp/~shiro/
多くのメール・リーダでは、1通の電子メールのことを メッセージ(message) と呼んでいる。
電子メールのテキストは、大きくヘッダと本文に分かれる。
From:
To:
Cc:
Date:
Subject:
From:
には、差出人の、
To:
と Cc:
には、受取人の電子メール・アドレスが置かれる。
電子メール・アドレス(e-mail address)
とは、電子メールを届ける時に配送プログラムが使う記号。
現在よく使われている形式:
user@domain「
@
」より前の部分は、個人を特定するための情報。
「@
」より後ろの部分は、
電子メールをどのコンピュータに届ければいいかを示している。
ドメイン形式のホスト名が使われる。
To:
: とCc:
: は、受取人の電子メール・アドレスが置かれる。どち
らにアドレスを書いても同じように届けらるが、To:
は、本来の宛先を
書き、Cc:
にはついでに連絡したい宛先を書く習慣になっている。Cc は、
Carbon Copy に由来する。
Date:
は、電子メールが出された日付と時刻。
Subject:
は、題名(題目、表題、件名)。
「件名」という日本語は存在しなかった。
電子メールの本文は、普通のテキストだが、1行の長さがだいたい漢字で30 文字〜35文字、英語のアルファベットで60文字〜70文字になるように、 折り返されている(改行が入っている)。このようにしておくと、引用という 機能を利用する時に便利。
電子メールで 引用 とは、返事などを書いたときに何に対する返事か分かりやすいように他の人の 書いた電子メールの一部を自分の電子メールに含めること。
本文の末尾には、 署名 ( シグニチャ(signature) ) が現われることが多い(付けなくてよい)。
署名とは、普通の手紙の末尾に署名をするのと同じように、末 尾に自分の名前や自分独自の記号を書く。署名は、簡潔で短いものが好まれて いる。1つの目安としては、「4行以内」。
電子メールのメッセージの型式は、RFC822 (その改訂版のRFC2822) で定めら れている。
電子メールは、「 メール・ボックス 」と呼ばれている ファイル に保存される。メール・ボックスは、プログラムによっては、 フォルダ(folder) や トレイ(tray) と呼ばれることもある。 メール・ボックスには、次の2種類がある。
/var/spool/mail/user
や
/var/mail/user
という名前のファイル。
(coins では、メールサーバ(mail.coins.tsukuba.ac.jp)の /var/spool/imap/user/user
)
メール・リーダが表示するのは、多くの場合、後者のメール・ボックスである。 新しく届いたメールを読む時には、前者から後者へメールを移す必要がある 場合がある。 この作業を、 「 (電子メールを)取り込む(incorporate) 」とう。
配送プログラム用メール・ボックスは、1つのサーバで1人で1つだけだが、 ユーザ用メール・ボックスは、必要に応じていくつか作ることができる。
メール・リーダで電子メールを発信する時にも、SMTP という仕組みが使われることがある。
POP では、配送プログラム用メール・ボックスを読み書きする機能がある。 IMAP では、それに加えて、複数のユーザ用メール・ボックスを扱えるように なっている。
電子メールで仕事をしていると、単にメールを出すだけではなく、受け取った
電子メールに対して返事を出すことが多い。そのため、メール・リー
ダでは、返事を出す作業を簡単に行うことができるようになっている。返事
を出すことを
リプライ
するともいう。返事を出す時には、To:
が自動的に作られるだけで
なく、Subject:
も同じもの、あるいは、にRe:
が付い
たものが自動的に付けられる。
電子メールで返事を出す時には、相手のメールの内容を引用することがある。
この時、相手が書いた部分と自分が書いた部分を区別するために、相手
が書いた部分の行の先頭には、引用のための記号を付ける習慣がある。こ
の記号には、「>
」や 「>>
」、
タブがよく使われる。
受け取ったメールを、別の人に送ることを、 転送(forward) という。 多くのメール・リーダでは、手作業で転送できるようになっている。
複数のメール・アドレスがある人は、あるアドレスに届いた「全て」のメールを、 別のメール・アドレスの所に自動的に転送できる場合がある。 については、
メールの数が増えてきたら
多くのメール・リーダは、長いアドレスや複数のアドレスを短い 別名(alias) で参照できるようになっている。 別名には、個人で付けるものの他に、システム全体で付けるものがある。
Re:
は、「〜に関して」という意味の単語で、英和辞書にも載っている。英語の
手紙、特にビジネスの分野では、日常的によく使われる。返事をする時に使
われるので、reply の略だと思っている人も多い。
電子メールでも普通の手紙でも、最初にメールを送る時には、
Re:
がないSubject: で出し、それについて返事を出す時には、
元のサブジェクトの前に Re:
を付けた形の Subject:を使う。
一般的な習慣では、返事に対する返事の場合でも、Re:
の数は
増えない。
ヘッダには、次のような項目 ( フィールド(field) ) が含まている。
From:
To:
Cc:
To:
には、本来の宛先を書き、Cc:
にはつい
でに連絡したい宛先を書くために書く。電子メールを送る時に、
Cc:
に自分の電子メール・アドレスを書けば、自分が送った
電子メールを保存することができる。Cc は、Carbon Copy に由来する。
Subject:
Date:
Message-Id:
Reply-To:
From:
に書かれているア
ドレスが使われる、Reply-To:
がある場合には、それが優先される。
In-Reply-To:
Message_Id:
やFrom:
、Date:
から作られる。
Received:
name: value1行に収まらない時には、2行目以降の行の先頭 にタブや空白が置かれる。たとえば、次のような形式になる。
Subject: Long long long long long long long long very long subject
Cc:
とよく似たものにBcc:
と Fcc:
がある。
Bcc:
は、blind carbon copy という意味で、そこに電子メールのアドレスを書くと
To:
やCc:
と同じように電子メールが送られるが、
Bcc:
は、電子メールを送るプログラムによって
削られてしまうので、最終的なメールには残らない。
Bcc:
は、コピーを送ったことをTo:
や
Cc:
に知られたくない時や自分用の控えのために使われる。
Fcc:
は、file carbon copy という意味で、そこには電子メールのアドレスではな
く、ファイル名を書く。メール・リーダは、メールの内容をそのファイル
に保存し、配送プログラムに渡す前にFcc:
を削除する。
Bcc:
はほとんどのメール・リーダで使えるが、
Fcc:
はメール・リーダによっては使えない。
電子メールのアドレスが、From:
や To:
やCc:
に現われ
る時には、次のような形で現われることもある。
From: shiro@is.tsukuba.ac.jp (Shiro Yagi)ここで、括弧の中には、ユーザの本名を英語やローマ字で書いたものが現われ る。この部分は、人間が読むためのもので、電子メールを配送するプログラ ムは使わない。ユーザの本名は、次のような形式で付加されることもある。
From: Shiro Yagi <shiro@is.tsukuba.ac.jp>この場合、電子メール・アドレスは、必ず
<>
で括る。
電子メールを出す時には、To:
やCc:
に
「,
」で区切って複数のアドレスを書く
こともでる。
To: shiro@is.tsukuba.ac.jp, kuro@is.tsukuba.ac.jpもし、1行に入り切らない時には、次のように複数行に分けて書く。
To: shiro@is.tsukuba.ac.jp, kuro@is.tsukuba.ac.jp, aka@is.tsukuba.ac.jp, momo@is.tsukuba.ac.jp, midori@is.tsukuba.ac.jp2行目以降は、行の先頭にタブや空白を置く。
ヘッダ部分は、漢字を使うことにはいくつか問題がある。まず、
From:
、To:
、Cc:
などの電子メールのアドレスを書くべき
所には、JISコードで直接漢字を入れることはできない。
MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)という形式を使って符号化して漢字を
含める機能を持っているメール・リーダもある。
ニュースについては、今日はやらなくてもよい。 95ページには誤植がある。
注意2:「ファイル」については、後日、説明する。
手引きの次の部分を参考にして、Emacs 上で動作するメール・リーダ Mew を 使って、メールの読み書きを行ってみなさい。
Date: