5.2 ネットワーク・ニュースの記事の読み方(mnews)

情報処理実習用手引き(システム解説編)
第5章 インターネットの利用
5.2 ネットワーク・ニュースの記事の読み方(mnews)
                                       電子・情報工学系
                                       新城 靖
                                       <yas@is.tsukuba.ac.jp>

このページは、次の URL にあります。
http://www.hlla.is.tsukuba.ac.jp/~yas/ipe/tebiki-1997/5-inet/2-mnews-read.html
http://www.ipe.tsukuba.ac.jp/~yshinjo/tebiki-1997/5-inet/2-mnews-read.html
あるいは、次のページから手繰っていくこともできます。
http://www.ipe.tsukuba.ac.jp/~yshinjo/
http://www.hlla.is.tsukuba.ac.jp/~yas/ipe/
http://www.hlla.is.tsukuba.ac.jp/~yas/index-j.html
http://www.ipe.tsukuba.ac.jp/

インターネットのアプリケーションで、電子メールは最も重要なものである。 今や電子メールは、それを使い始めた人にとって、なくてはならないものになっ ている。ネットワーク・ニュースも古くから使われているアプリケーションで ある。WWWが登場した現在でも、議論の場所として重要な地位を占めている。

この手引きでは、電子メールとネットワーク・ニュースを、mnews (エム・ニュー ス)というプログラムで読み書きする方法を説明する。mnews は、名前で示す ようにネットワーク・ニュースを読み書きするプログラムであるが、それとほ とんど同じ方法で電子メールを読み書きすることができる。つまり、mnews の 使い方を覚えただけで、電子メールもネットワーク・ニュースも両方とも活用 できるようになる。

mnews は、サーバ・コンピュータ(Sun, icho)で動作するプログラムである。 mnews を実行するには、サーバにログインする必要がある。

電子メールとネットワーク・ニュースに関連した節の構成は、次のようになっ ている。

mnews は、電子メールやネットワーク・ニュースの記事の本文を書く時に、テ キスト・エディタ mule を実行する。5.3節では、そのような場合に必要な mule の使い方について説明する。さらに詳しい使い方については、5.5節で説 明する。mule は、5.6節で説明する WWW ページ作成の時にも利用する。

■ネットワーク・ニュース

ネットワーク・ニュース(network news)、あるいは、ネットニュース (netnews)は、インターネットで「1対多の通信」を実現するための仕掛け の1つである。ネットワーク・ニュースでは、ある書き手が発したメッセージ を、大勢の人が読むことになる。ネットワーク・ニュースでは、メッセージの 事を新聞にたとえて「記事(article)」と呼んでいる。

ネットワーク・ニュースは、「1対多の通信」という見方からは、新聞やテレ ビと似ている。ただし、新聞やテレビと比較して、ネットワーク・ニュースの 特徴は、参加者が誰でもメッセージを発信することができることにある。新聞 やテレビの場合、編集作業が必ず入る。取材の段階で得られた情報が、編集作 業で落とされて伝えられないことがある。これに対してネットワーク・ニュー スでは、誰でも自由に情報を発信することができる。また、1つ1つの記事は、 「1対多の通信」であるが、全体としては、「多対多の通信」を実現している。

これに対して、電子メールは、普通、「1対1の通信」に使う。電子メールで も、「メーリング・リスト」という仕掛けを使えば、「1対多の通信」を行う ことができる。

◆ネットワーク・ニュースの記事転送の仕 組み

ネットワーク・ニュースの記事がどのように配送されるかを、次の図5.2.1に 示す。

各組織には、ネットワーク・ニュースのサーバがある。サーバは、同一組織内 の個人用のコンピュータからの要求に従って、自分が保存している記事(メッ セージ)を提供する。サーバは、投稿された記事や他のサーバから受け取った 記事を、他のサーバへ転送する。

ネットワーク・ニュースでは、中央の集中化されたサーバは、存在しない。こ の性質により、数千万人の人が情報を共有することが可能となっている。中央 の集中化されたサーバがあった場合、それに負荷が集中してしまい、すぐに限 界に達してしまうことになる。

図5.2.1 ネットワーク・ニュースの記事転送の仕組み

図5.2.1 ネットワーク・ニュースの記事転 送の仕組み

◆ニュース・リーダ

ネットワーク・ニュースの記事を読み書きするプログラムを、ニュース・リー ダ(news reader)という。ニュース・リーダを使う時に、次のような操作を することができる。

  1. 記事を読む
  2. 記事を書く(ポストする、投稿する)
  3. ある記事に続けて記事を書く(フォローアップする)
  4. 記事をキャンセルする
  5. 電子メールで返事を出す
  6. 記事を保存する
  7. 環境を整える

この節では、mnews を使って、ネットワーク・ニュースの記事を読む方法を説 明する。mnewsの他に、ニュース・リーダとしては、vin(びん), GNUS (にゅー ず), rn(あーる・えぬ)、tin というプログラムもよく使われている。また、 Netscape のような WWW ブラウザでも、ネットワーク・ニュースを読み書きす ることができる。

■記事とニュース・グループの木構造

◆記事

ネットワーク・ニュースに流れるメッセージは、記事(article)と呼ばれて いる。1つの記事は、次のようなテキストである。テキストとは、文字データ だけからなるデータである。

--------------------------------------------------------------------------------
Newsgroups: tsukuba.living
From: yas@is.tsukuba.ac.jp (Yasushi Shinjo)
Subject: Re: Cash Dispenser[sakura bank]
Date: Thu, 20 Mar 1997 00:55:50 JST
Organization: Institute of Information Sciences and Electronics, University of
        Tsukuba
Message-ID: 

新城@筑波大学情報です。こんにちは。

In article <5goe30$sr8@ipps.sk.tsukuba.ac.jp>
        haruna30@shako.sk.tsukuba.ac.jp (Takaaki Haruna) writes:
> 春名@筑波大学社会工学類4年と申します。
> さくら銀行土浦支店の口座は
> あさひ銀行土浦支店へ移されています。
> #あさひ銀行のカードが郵送されているそうですよ。

住所変更したのに、まだ来ていません。

さくら銀行のATMは、100円で振り込みができるので、良かっ
たです。ほとんどそのためにだけ、さくら銀行に口座を作っていま
した。あさひ銀行のATMは、どうなんでしょうか。

去年の11月ごろ、筑波大学内のさくら銀行のATMで振り込みを
しようとして口座番号を打ち間違えました。その時は、土浦支店ま
で出かけるはめになりました。その時が土浦支店に行くのは2回目
でした。その時、ついでに住所変更もしておいてよかった。

                                新城@筑波大学情報
--------------------------------------------------------------------------------

記事は、大きくヘッダ(header,頭)と本文(body)に分かれる。ヘッダは、 記事の先頭から最初の空行まで、本文は、空行以降の部分である。本文には、 普通の文章が書かれている。ヘッダには、次のような情報が含まれる。

  1. Newsgroups: には、その記事が属するニュース・グループが書かれている。ニュー ス・グループについては、以下で説明する。
  2. From: には、その記事を書いた人(差出人)の電子メールのアドレスが書かれ ている。
  3. Subject: (サブジェクト)とは、記事の題名(題目、表題)である。ネット ワーク・ニュースの記事は、膨大な数に上る。とても全ての記事を読むことは 不可能である。題目は、その記事を読むか読まないかを決める重要な手がかり となる。
  4. Date: は、記事が書かれた日付を表わしている。この例では、日本時間(JST) で、1997年3月(Mar, Marchの短縮形)20日木曜日(Thu, Thursday)に書かれた ことがわかる。
  5. Organization: には、差出人の所属が書かれる。
  6. Message-ID: には、その記事に対して世界中で重複がないように付けられた文 字が書かれる。これを、メッセージ識別子(メッセージID、Message-ID, Message identifier)という。IDというのは、身分証などの意味のIDカー ドのIDと同じ意味である。

記事の本文は、普通のテキストである。記事の本文をワープロなどで打ち込む 人もいる。ワープロの文書と違う所は、1行の長さがだいたい30文字〜35 文字になるように、折り返されている([←]が打たれている)ことである。 これは、「引用」という機能を利用する時に便利である。ネットワーク・ニュー スで引用とは、他の人の書いた記事の一部を自分の記事に含めることである。 上の例で、引用記号「> 」が付けられている部分は、他の人が書 いた記事である。引用記号としては、「> 」の他に、 「>> 」や「|」がよく使われる。引用する時には、 元の記事を書いた人の電子メール・アドレスと、元の記事のメッセージ識別子 が付けられる。ネットワーク・ニュースの記事は、このように誰かが言ったこ とを引用し、それに対する返事を書くことで、対話をしているかのごとく書か れる事が多い。

本文の末尾には、署名(signature, シグニチャ)が現われることが多い。署 名とは、普通の手紙の末尾に署名をするのと同じように、末尾に自分の名前を 書くものである。

◆記事とニュース・グループ

記事は、ニュース・グループ(news group)と呼ばれる仕組みを使って分類さ れる。ニュース・グループには、次のように、ピリオドで区切られたアルファ ベットで名前が付けられている。

tsukuba.events
筑波で開かれる様々なイベントの記事を集めるためのニュース・グループ。
tsukuba.trade
筑波で、不用品を交換することに関係した記事を集めるためのニュース・グルー プ。
fj.rec.music
日本関係のニュース・グループ群 fj (From Japan)で、レクリエーション (recreation)関係で、音楽に関する記事を集めるためのニュース・グループ

このように、ネットワーク・ニュースの名前は、英語で、かつ長いものは省略 形で付けられている。最初は、分かりにくいが毎日読むようになるとむしろ便 利であることに気が付く。

mnewsでは、ニュース・グループを、木構造という形式を使って分類して表示 する。木構造(tree structure)というのは、計算機科学(コンピュータ・サ イエンス)の専門用語である。木構造は、計算機の外にもさまざまな場所で使 われている。身の回りの例としては、住所、会社組織、生物の分類、図書の分 類が木構造になっている。木構造は、 階層構造(hierarchical structure) ともいう。

木構造の例を、大学の組織を使って説明する(図5.2.2)。木構造は、節と枝 からできている。特別な節として、根(root)が1個ある。木構造の特徴は、あ る節から別の節までの道が1本しかないことである。これは、本物の木の枝が 決して交わらないのと似ている。(道が2本以上あるようなものは、グラフと いう。) つながっている節と節で、根に近いものを親、そうでないものを子 という。

図5.2.2 大学組織に見られる木構造

図5.2.2 大学組織に見られる木構造

図5.2.2では、筑波大学と書いてある所が木の根にあたる。根からは、何本か の学群の枝が出ている。このように、計算機科学では、木の根を上に書く習慣 がある。第二学群の節には、日本語日本文化学類、生物学類などの子の節があ る。第二学群の親は、筑波大学である。

たとえば「社会学類」の場合、文章の中では、次のように記述する。

筑波大学第一学群社会学類

ニュース・グループの名前の場合、次のように「.」を使って節の区切りをはっ きり示す。

筑波大学.第一学群.社会学類

住所の表記も、木構造である。

日本国.茨城県.つくば市.天王台

図5.2.2に示されている木構造は、また図5.2.3のように、領域を分割するよう な見方もできる。ここで、木構造の場合には、領域の境界線が交わることがな い。

図5.2.3 大学組織に見られる木構造(領域的な見方)

図5.2.3 大学組織に見られる木構造(領域的な見方)

◆木の例

コンピュータでは、次のような場所で木構造が使われている。

■mnews の基本

mnews では、目的の記事の内容を画面に表示させるためには、「読みたいもの を選ぶ」という操作と「選んだものに入り込む(読む)」という操作を繰り返 す。こうして表示させた記事は、上から画面の大きさの分ずつ表示される。 「選ぶ」という操作は、さらに、「ニュース・グループを選ぶ」操作と「記事 を選ぶ」操作に分かれます。

mnews には、いくつかの「モード(mode)」(状態)がある。モードというのは、 とりあえず今の所は、「画面表示の形態」と思ってもよい。(正確には、モー ドとは、1つのコンピュータのプログラムでも、いくつかの局面に応じて異な る動きをする時に、その1つひとつの局面をモードという。)プログラムがど のモードにあるかで、プログラムを操作する方法が違ってくることがあるので、 プログラムのモードの変化には、注意する必要がある。

mnews でネットワーク・ニュースを読むには、次の3つのモードを使う。

(1) ニュースカテゴリ/グループ選択モード
画面にはニュース・グループ名やその階層が表示される。人間は、それから1 つを選ぶ。
(2) ニュース記事選択モード
画面には、1行に1つの記事の題目が並ぶ。人間は、そこから読みたい記事を 選ぶ。
(3) ページャーモード
画面には、記事の内容が表示される。人間は、記事の内容をページをめくるよ うにして読む。ここでページとは、1画面にちょうど入るくらいの分量の文書 のことである。WWW のページとは関係がない。

その他に、電子メールを読み書きするためのモードもある。それについては、 5.3節で説明する。

モードが変わると、操作方法が異なる。ただし、(1)と(2) は、操作方法がよ く似ている。

◆mnewsの実行

mnews は、正面のパソコン(FMV,Macintosh)ではなく、裏で動いているサーバ・ コンピュータ(Sun,icho)で動くプログラムである。mnews を実行するには、ま ずパソコンでなんらかの通信プログラム(Telnet, または X Window)を実行 し、Sun にログインする。このとき、ログイン名(ユーザ名)とパスワードが 聞かれるので、それに答える。そして、サーバで「% 」が表示されている画面 にする。

%

この「% 」は、シェルというプログラムが、人間からのコマンド(command命 令)を待っていることを表わしている。「学生支援メニュー」が表示されてい たら、「コマンドモード」を選択する。

mnews を実行するには、次のように打つ。(最初の「%」は、打たなくてもよ い。)

% mnews

◆ 最初の画面

mnews を実行すると、次のような画面が表示される。

図5.2.4 mnews の実行直後の画面(実際の画面とは、若干異なる)

図5.2.4 mnews の実行直後の画面(実際の画面とは、若干異なる)

3行目の「ニュースカテゴリ/ニュースグループ名」という表示が、「ニュー スカテゴリ/グループ選択モード」であることを示している。

図5.2.4の画面は、図5.2.5の木構造の、一番上に書かれている根の部分 (mnews)を見ていることに相当する。

図5.2.5 ニュース・グループの木構造の例(tsukuba.livingの位置)

図5.2.5 ニュース・グループの木構造の例(tsukuba.livingの位置)

根の下には、次のような名前の節がある。

campus
筑波大学学内のニュースグループ(日本語)
control
ネットワーク・ニュースの制御用(読まなくてよい)
comp
コンピュータ関係のニュースグループ(英語)
fj
From Japan 日本発世界行きのニュースグループ(日本語・英語)
ipe
筑波大学共通科目情報処理関係
junk
ネットワーク・ニュースの制御用(普通読まなくてよい)
news
ネットワーク・ニュース自身に関するニュースグループ(英語)
sci
科学(science)関係のニュースグループ(英語)
soc
社会(social)関係のニュースグループ(英語)
tsukuba
筑波関係のニュースグループ(日本語)
MAIL
電子メール(ネットワーク・ニュースではない)
RMAIL
電子メール(ネットワーク・ニュースではない)
MH
電子メール(ネットワーク・ニュースではない)

画面の3行目に「未読」と書かれている部分がある。この下の数字が、まだ読 んでいない記事の数の概算である。全部で100万個以上の未読の記事がある ことがわかる。(数字は毎日変わる。場所によっては、実際に蓄えられている 記事の数ではなく、過去に届いて既に期限切れで消えてしまったものを含んで いることがある。)

◆ 短い使い方の行

図2.5.4 で、1番下の行に注目しなさい。簡単な使い方が表示されている。

-----------------------------------------------------------------------
?:ヘルプ j,^N:次行 k,^P:前行 SPACE,i:選択 l:表示モード切替 q:復帰 Q:終了
-----------------------------------------------------------------------

これは、次のような意味である。

  1. ?キーを押すと、ヘルプ画面(使い方の説明)を表示する。
  2. jキーか、^Nキーを押すと、カーソルが次の行に移動する。
  3. kキーか、^Pキーを押すと、カーソルが上の行に移動する。
  4. SPACEキーか、iキーを押すと、カーソルがあるメニューを選択したことになる。
  5. l(小文字のL)キーを押すと、表示の方法が切り替わる。
  6. qキーを押すと、前の状態にもどる。
  7. Q(大文字)キーを押すと、mnewsを終了する。

ここで、^N というのは、コントロール・キー(control, ctrl, キーボードの 左下にある)を押しながら、nキーを押すという意味である。これは、mule の カーソル移動と同じである。カーソル移動には、j,^N,k,^P の他に、矢印キー (↑、↓)も使える。

mnews は、右手をキーボードのホーム・ポジションに置いた状態で楽にネット ワーク・ニュースの記事が読めるように作られている。左手は、最後に終了の Qを押すだけである。右手も次の5つキーだけである程度の操作ができるよう になっている。

----------------------------------------------------------------------
j	右手人さし指	カーソルを下へ
k	右手中指	カーソルを上へ
i	右手中指	入り込む(in)
o	右手薬指	抜ける(out)
SPACE	右手親指	入り込む(in)、または、次のページへ
----------------------------------------------------------------------

◆ tsukuba節

図5.2.4の画面で、j,k,^P,^N ,↑,↓ 等でカーソルを「tsukuba」の左まで移 動させたとする。そこで、iキー(inの意味), またはSPACE キーを押すと、 tsukubaのメニューを選択したことになる。すると、図5.2.6のような画面にな る。

図5.2.6 tsukubaを選んだ直後の画面

図5.2.6 tsukubaを選んだ直後の画面

iキー(in), SPACEキーに対して、oキー(out)を押すと、前の状態にもどる。 (oキーの代わりに、qキーでも前の状態にもどる。)

表5.2.1 ニュースカテゴリ/グループ選択モード、ニュース記事選択モードで使えるキー

----------------------------------------------------------------------
キー		動き		|	キー		動き
----------------------------------------------------------------------
Q		終了		|	SPACE,i		入る(参照)
?		ヘルプ		|	o,q		抜ける(復帰)
j,^N,↓		次の行へ移動	|	k,^P,↑		前の行へ移動
m		電子メールを出す|	a		記事を出す
----------------------------------------------------------------------

◆ ニュース記事選択モード

図1-3の画面で、j,k,^P,^N 等でカーソルを「tsukuba.living」の左まで移動 させて、そこで、iキー(inの意味), またはSPACEキーを押したとする。すると、 次のような画面になる。

図5.2.7 tsukuba.events にある記事の一覧

図5.2.7 tsukuba.events にある記事の一覧

3行目の「サブジェクト名」という表示が「ニュース記事選択モード」である ことを示している。このモードでの mnews の操作方法は、前の「ニュースカ テゴリ/グループ選択モード」によく似ている。違いは、ニュース・グループ の名前ではなく、記事の番号、記事が投稿された日付(Date:)、記事の行数、 差出人(From:)、題名(Subject:)が表示されているところである。

「ニュース記事選択モード」では、操作方法は、前の「ニュースカテゴリ/グ ループ選択モード」とよく似ている。ここでもやはり、読みたい記事に j,k,^P,^N 等でカーソルを合わせて iキーかSPACEキーを押す。すると、カー ソルの位置にある記事が画面に表示される。

◆ ページャー・モード

次の画面は、「ニュース記事選択モード」で、ある番号の記事にカーソルを合 わせて iキー(inの意味), またはSPACEキーを押した結果である。

図5.2.8 ページャーモード(記事を表示する画面)

図5.2.8 ページャーモード(記事を表示す る画面)

これは、「ページャー・モード」の画面である。これは、1つ1つの記事を、 1ページ1ページめくるように読むための画面である。ここで1ページとは、 画面にちょうど入り切る分量という意味である。

「ページャー・モード」では、記事を表示するために画面の面積を割いている ため、簡単な説明が表示されない。ページャ・モードで最もよく使うキーは、 SPACEキーである。SPACEキーを押すと、次のページに進む。1ページ戻るには、 bキーを押す。もとの「ニュース記事選択モード」にもどるには、oキーかqキー を押す。

表5.2.2 ページャー・モードでよく使うキー

----------------------------------------------------------------------
キー		動き		|	キー		動き
----------------------------------------------------------------------
SPACE		1ページ進める	|	b		1ページ戻す
j		1行進める	|	k		1行戻す
q		ページャの終了	|	?		ヘルプの表示
n		次の未読記事へ	|	p		前の記事へ
r,R		メールで返事	|	f,F		フォローアップ
----------------------------------------------------------------------

SPACEキーは、次のページを表示させるためのキーである。しかし、1つの記 事で一番最後のページを表示している時(画面の一番下に、「(END)」と表示 されている)には、同じニュース・グループ内で次のまだ読んでいない記事を 表示する。もしそのような記事がない時には、次のニュース・グループの未読 記事を表示しようと試みる。

◆ 読んだ記事のマーク

一度読んだ記事を、「ページャ・モード」から「ニュース記事選択モード」に もどって見ると、図5.2.9のように、記事の行の先頭に「R」が付いている。こ れは、この記事をもう読んだということを示すマークである。空白になってい る記事は、まだ読んでいない記事である。

図5.2.9 既読マークとスレッド

図5.2.9 既読マークとスレッド

◆ 次のニュース・グループの記事への移動

そのグループの記事を最後まで読むと、次の記事を表示する変わりに、次のよ うに聞いている。

図5.2.10 そのグループの最後の記事の最後

図5.2.10 そのグループの最後の記事の最後

ここで、yキー(小文字でも大文字でもよい)を押すと、次の未読の記事があ るニュース・グループに「飛んで」いく。つまり、この例では、 tsukuba.living いうニュース・グループから、tsukuba.miscというニュース・ グループの記事を読むための画面に変わる。

nキー(小文字でも大文字でもよい)を押すと、現在読んでいる記事の属する ニュース・グループ(この例では、tsukuba.living)の「ニュース記事選択モー ド」にもどる。

qキー(小文字でも大文字でもよい)を押すと、前(この例では、tsukuba)の ニュースカテゴリ/グループ選択モードになる。木構造で考えると、親の節に 移動したことになる。

★練習問題

情報処理(実習)の講義には、それぞれ対応したニュース・グループがある。そ の名前は、ipe. から始まる。各自、自分の講義のためのニュース・グループ の記事を読みなさい。

◆ 記事が多いニュース・グループを読む

1つのニュース・グループに、非常にたくさんの記事が投稿されていることが ある。その時、mnews は、題名ごとに記事を並べ替えて表示する。並べ替える ことをソート(sort)するという。ソートの作業は、記事の数が多くなるほど 時間がかかるようになる。標準では、mnews は、未読記事が100個未満の時 には自動的にソートを行う。未読記事が100個以上の時には、図5.2.11 の ような画面を表示して、並べ替える記事の数を問い合わせてくる。

このように、mnewsが並べ替える記事の数を聞いてきた時には、単にリターン・ キーを押すか、数字を書き換えてからリターン・キーを押す。「1」か「0」と 入れると、ソートを行わない。

図5.2.11 並べ替える記事の数を問う画面

図5.2.11 並べ替える記事の数を問う画面

ソートを行うと、図5.2.9のような画面になる。図5.2.9 では、左側の「番号」 の順番ではなく、「サブジェクト名」の順番に並べ替えられている部分がある。 このように、一連の同じ題名の記事の流れをスレッド(thread,織り糸)とい う。(厳密には、スレッドは、単に同じサブジェクトというだけではなく、記 事の参照をもとにした因果関係により決まる。)

スレッドの先頭の記事の Subject: には、「Re:」が付いていない。スレッド の2番目以降の記事には、「Re:」がついている。mnews は、「Re:」がついて いる記事を、画面場では「|」と表示する。

ネットワーク・ニュースの記事や電子メールでよく見かける「Re:」は、英語 の手紙によく使われる単語で、「…に関して」という意味である。もともとは、 ラテン語である。英和辞典にも出ている。(response とか reply という意味 と思っている人も多い。)

◆ 最後の記事に飛ぶ

多くの記事があるニュース・グループの記事を読んでいると、最新のものだけ を見たいことがある。その時には、「>」キーを押す。こうすると、カーソル が最後の記事に移動する。逆に、最初の記事に移動するには、「<」キーを押 す。

◆ 検索

あるグループの中で記事を検索したい時には、/キーと\キーを使うこともでき る。/キーを打つと、検索したい言葉を問い合わせてくるので、それを打ち込 み、最後にリターンを打つ。すると、上から下の方向へ検索が行われる。\キー では、下から上の方向で検索が行われる。

検索機能は、いろいろなモードで使える。ただし、検索で見つかるのは、画面 に表示されるものだけである。たとえばニュース記事選択モードでは、From: や Subject: の一部で検索することができるが、本文では検索することはでき ない。

■ お助け下さい

◆ ^Z

なれるまで ^Z (コントロール-z、コントロール・キーを押しながらzを押す) を押してはならない。^Z は、ジョブ制御という非常に高度な機能に関係して いる。ジョブ制御を使えば、1つの端末で複数のプログラムを切り替えながら 動かすことができる。つまり、^Z を押してもmnewsが終了したわけではない。 mnewsを終了するために、^Z を打ってはならない。

もしまちがって ^Z を押してしまったら、次のように打つ。

----------------------------------------------------------------------
% fg [←]
----------------------------------------------------------------------

なお、^Z は、mnews だけでなく、mule でも同じように働く。mule でも、^Z を押してしまったら、fg で元にもどすとよい。

◆ 「新しい記事を発信しますか?」

突然次のように予期せぬ問い合わせを受けることがある。

1-12 予期せぬ問い合わせの例 1-12 予期せぬ問い合わせの例 1-12 予期せぬ問い合わせの例

図1-12 予期せぬ問い合わせの例

これは、間違ってキーを打ってしまった時にこうなる。このような予期してい いない問い合わせについては、^G を打つとよい。これで、前に間違って打っ たキーの操作をキャンセルすることができる。

■ニュース・グループの紹介

◆トップ・ドメイン とAUP

「.」で区切られたニュース・グループの名前のうち、一番左のものをトップ・ ドメインと呼ぶ。トップ・ドメインが同じものは、普通、配布範囲とAUPが同 じである。配布範囲とは、どのくらいの範囲に記事が届くかを表わしたもので ある。AUP(Acceptable Use Policy) とは、どのような記事を投稿してよいか を決めたものである。伝統的なニュース・グループは、AUP として「非営利目 的の記事のみ投稿してよい」という AUP を持っていることが多い。これは、 企業からの宣伝を禁じたものである。ただし、宣伝ではなければ、製品の話を してもかまわない。よい製品の評価が書かれた記事は、歓迎される。

以下に、いくつかのトップドメインを紹介する。そのうちいくつかは、筑波大 学教育用計算機システムでは購読していないものもある。

学内

campus
筑波大学のニュースグループ(主に日本語)
ipe
共通科目の情報処理関係
local
このニュース・サーバだけのグループ
coins
情報学類、工学システム学類のニュース・グループ
bres
生物資源学類のニュース・グループ
first
1学ネットのニュース・グループ
kokusai
国際総合学類のニュース・グループ
kyouiku
教育研究科のニュース・グループ
ningen
人間学類のニュース・グループ
shako
社会工学類のニュース・グループ

地域関連(世界に配布されているものもある)

tsukuba
筑波地域のためのニュースグループ(主に日本語)
kyushu
九州地域のためのニュースグループ(主に日本語)
nara
奈良周辺地域のためのニュースグループ(主に日本語)
okinawa
沖縄関係のニュースグループ(主に日本語)

日本発世界行き

fj
From Japan 日本発世界行きのニュースグループ(主に日本語)
tnn
IIJの提供する主に国内向けのニュースグループ(主に日本語)

世界区

comp
コンピュータ関係のニュースグループ(英語)
news
net-newsのためのニュースグループ(英語)
sci
科学(science)関係のニュースグループ(英語)
soc
社会(social)関係のニュースグループ(英語)
gnu
GNU(ぐにゅー)関係のニュースグループ(英語)

◆特殊な名前

ニュース・グループの名前には、普通の英単語が使われることもあるが、短縮 形やニュース・グループ名に使われて特殊な意味を持つものがある。そのよう な名前について説明する。

comp
computerの省略形。
sys
systemの省略形。コンピュータの主にハードウェア。機種依存の話。
rec
recreationの省略形。レクレーション。お楽しみ。
sci
scienceの省略形。科学。自然科学が多い。
soc
socialの省略形。社会科学。
lang
languageの省略形。言語。コンピュータ言語を意味することが多い。
engr
engineeringの省略形。工学。
mail-lists
mailing listsの省略形。メーリング・リストとネットワーク・ニュースが相互乗り入れしていることを意味する。
misc
その他の意味。たとえば、fj.sys には、fj.sys.mac,fj.sys.pc98 などあら かじめそれぞれの機種専用のニュース・グループが作られている。それ以外の 機種に関しては、fj.sys.miscを使う。
binaries
もともとは、2進数の意味だが、ネットワーク・ニュースでは「テキスト・デー タではい」という意味を持つ。具体的には、機械語によるプログラムや画像を 差す。
general
全ての人が読むことになっているニュース・グループ。新聞の1面に相当する。
annouce
重要な情報が流れる。generalとほぼ同じ意味。

◆ニュース・グループtsukuba

筑波地域に関連したニュース・グループ tsukuba の、個々のニュース・グルー プを紹介する。

tsukuba.chat
雑談。おしゃべり。
tsukuba.events
イベント情報。
tsukuba.followup
fj.general に投稿された記事へのフォローアップ記事を投稿する所。
tsukuba.general tsukuba.* の読者全員に知ってもらいたい重要な記事を投稿する所。
tsukuba.lectures
もともとは、tsukuba.questions とは逆に、誰も質問していないことに対して 答えを投稿するところ。最近では、講演会のお知らせに使われることが多い。
tsukuba.living
筑波での生活情報。
tsukuba.misc
その他、分類できない記事を投稿する所。
tsukuba.netadmin
ネットワーク管理に関する話題。
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何かが欲しい時に、それを求めるための記事を投稿する。

■詳しい情報

この手引きに関して追加情報が、次のWWWページにある。

http://www.ipe.tsukuba.ac.jp/~yshinjo/tebiki/

ネットワーク・ニュースfj については、fj.news.list にニュース・グループ 名の一覧が投稿される。「Active Newsgroups List」という Subject: を持っている記事に、最新のニュース・グループ名の一覧が載って いる。fj については、次のWWWページも参考になる。

http://www.cs.orst.edu/~takikawm/fj/index.html

fj のページ by 滝川雅巳

mnews では、「?」キーを打つと、簡単な説明が表示される。詳しいマニュア ルは、次のように打つと表示される。

% man mnews [←]

この表示を終了するには、q と打つ。

mnews については、次のページにさまざまなドキュメントの一覧がある。

http://www.agusa.nuie.nagoya-u.ac.jp/~watanabe/mnews/

mnews便利ガイド (渡辺昭雄@名古屋大学情報工学科)


Last updated: 1998/02/13 18:25:06
Yasushi Shinjo / <yas@is.tsukuba.ac.jp>